
先日、GMATを受験したのですが、途中で問題が簡単になったので「今回はダメかな」と諦めかけましたが、なんとか最後まで全力を尽くしたところ自己最高スコアが出ました! GMATはcomputer-adaptiveだと思っていたのですが、こんなこともあるんですね。

最後まで諦めずに高得点達成、おめでとうございます!! 実は、多くの受験者の方が、GMAT – CAT の仕組みを誤解したまま試験中に集中力を乱し、せっかくの実力をスコアに反映できないままになってしまっています。以下の記事を読んでいただければ、GMAT – CAT では単純に「問題が簡単になったから低いスコアになる」というものではないことをご理解いただけることと思います。
GMAT – CAT (Computerized-Adaptive Test) の仕組み
GMATは、受験者の能力に応じて問題の難易度が1問ごとに変化する computerized-adaptive test (CAT) 形式を採用しています。各問題の正解・不正解に基づいて、次に提示される問題の難易度が調整される仕組みです。
GMATの3セクション(Verbal, Quantitative, Data Insights)いずれにおいても、原則として、正解すればするほど高いレベルの問題が出題され、間違えると易しい問題が出題されることになります。
しかし、このGMAT-CATにおけるレベル変動の仕組みには次のような重要な例外もあることに注意が必要です。
ダミー問題の存在
1つ目の例外は、1セクションにつき3〜4問程度含まれる「ダミー問題(実験問題)」です。試験運営側が問題の正解率を調査してそのデータを元に難易度を設定し、将来的に実際に使用する目的で設けられています。ダミー問題は正解でも不正解でもスコアに影響を与えません。
これらダミー問題は受験者のレベルに関係なく出題されます。
したがって、たとえば数学で満点をとるような場合でも、セクションの終盤に非常に簡単な問題が突然出現することがあります。このような場合、問題の難易度が必ずしもスコアに直結するわけではないことを理解しておくことが重要です。
難易度の変化は必ずしも一元的ではない
多くの受験者の方が、上記ダミー問題を除くと「正解を続ければ高難度の問題ばかりが出題される」と考えがちですが、現実はそれほど単純ではありません。
GMAC(試験運営団体)の CAT 開発者の1人による公表によると、GMATでは受験者のレベルを測定するだけでなく、異なる分野のスキルをテストするために、能力と合わない問題が意図的に出題されることがあります。
たとえば、Data Insights セクションで最初に Data Sufficiency (DS) 問題を連続して正解した場合、次に出題される Two-Part Analysis (TPA) が、その前の DS 問題よりも必ず難しくなるかと言えば、そうとは限りません。出題者側としては、受験者の TPA の能力を正確に確認するため、いったん少しレベルを落とした問題を出題してから、正解したら一気に問題のレベルを上げるかもしれません。あるいは逆に、最初に DS で不正解が続いた後でも、その後の TPA はやや高いレベルになっているかもしれません。いずれにしても、問題の難易度は分野によって変更される可能性もあるため、一概に「前の問題に正解したら絶対に次の問題のレベルが上がる」「前の問題が不正解だったら、必ず次の問題のレベルが下がる」とは言えないわけです。
ほとんどの受験者が引っかかる「超難問」の存在
GMATでは、ハイレベルな受験者どうしの間にも差をつける必要があるため、巧妙な「引っ掛け問題」も含まれています。
一見すると非常に簡単に見えるため、ほとんどの受験者が自信を持って解答して正解したつもりになっていて、実際には出題者の意図通り不正解選択肢に引っかかってしまっていた、というような超難問もあります。
「途中で問題が簡単になったので、前の問題で間違えてレベルが低くなったのだと思いました」というようなケースでも、試験後の詳細なスコア・レポートを見せていただくと、後半で「簡単」になったはずの問題で不正解が続いていたりすることも多いです。そのような場合、おそらく上記のような「簡単に見える難問」に間違えてしまっていた可能性が高いのではないかと思われます。
結論
以上を前提としたおすすめの試験戦略および心構えとしましては、試験中には問題の難易度に全く一喜一憂しないことが非常に重要と言えます。
「試験中はあまり出来た気がしなくて途中から問題も簡単に感じたので、今回もダメだと思いながら半分開き直って無心で最後まで解き進めたところ、蓋を開けてみたら自分でもびっくりするような高得点になっていました」という方もいらっしゃいます。
必要以上に採点の仕組みを気にしながら問題を解くことは、余分な雑念を生む原因になり、百害あって一理なしになりかねません。
高得点達成のためには、目の前の問題に正解することのみに集中して、本来の実力を最大限スコアに反映できるように全力を尽くすことが何より重要です。

G-Prep の講座では、GMAT / EA に関する最新の研究結果を踏まえて、実力を最大限スコアに反映できるような試験戦略の紹介や、各タイプの問題に対する適切なアプローチについて詳しい解説を提供しています。
コメント