GMAT講師の中山です。
今回は、Sentence Correctionにおいて非常に重要な「関係詞のルール」の基本について整理しておきたいと思います。
特に、「関係詞が指せるもの」については、GMATのベテラン学習者の方の中にも、意外に誤った理解のまま問題を解き続けていらっしゃる方が多いですので、下記を参考にして明確に頭の整理をしておかれてください。
関係詞の用法が「誤り」とされるケース
関係詞が名詞(句)以外を指そうとしている場合
The root systems become too crowded, which results in loss of vigor.(×)
この文では、whichが前の内容全体を指そうとしているので(日常的な英語ルールではもちろん正しいですが)Sentence Correctionでは正解になりません。
「コンマ + which が前の内容全体を指すのが SC では NG」だと頭でわかっていても、仕事の英語メールや CR/RC 問題では普通に使われているので、つい選んでしまうことがあります。
実は、この論点は Official Guide の解説者ですら誤解してしまうことがある奥が深い問題です。
たとえば OG Verbal 293 (A)に、それまでの過去問と矛盾する「(前の内容を指す)whichの用法は正しい」という記述がありますが、無視して大丈夫です。
え!? OG 解説は “Official”「公式」なので、誤りがないと考えるべきではないんですか?
OG は過去問作成者と解説者が異なるため、SC 過去問を深く研究していない(しかし一流の文法学者ではある)解説者が、それまでのOG解説や過去問と矛盾する記述をすることが稀にあり、293もその一例です。
関係詞が直前の名詞(句)を指すと意味がおかしくなる場合
The seismic wave originated in the earth’s crust, which traveled rapidly through cold, dense regions. (×)
この文では、whichが直前の名詞である crust を指すことになり、意味が不適切になります。
SC では which が動詞 originated を飛び越えて wave を指すことはなく、直前の名詞である crust を必ず指してしまうことになるんですね。
はい、その通りです。SC で関係詞が指せるのは「直前の名詞または名詞句」です。
関係詞の用法が「あいまい」とされるケース
関係詞の直前に複数の名詞句がある場合
There were about 1.5 million mothers with young children who worked outside the home.(△)
この文では、whoはchildrenとmothersいずれも指すことができるので、曖昧と見なされます。Sentence Correctionでは、曖昧な選択肢でも他の選択肢次第では正解になることも多いです。
関係詞は「直前の名詞」を指すので、この who は children を指してしまい「×」ではないんですか?
関係詞が指せるのは、「直前の名詞または名詞句」です。
このような who を「×」(=正解確率ゼロ)と見なしてしまうと、非常に多くの問題で間違えてしまうことになります。関係詞が指すものが曖昧でも正解になることはよくあります。
関係詞の用法が正しいケース
多くの方が、以下のような場合に「関係代名詞の用法が良くない」と判断して間違えてしまっています。
関係詞が動詞を飛び越える場合
No evidence has been found that explains the function of the organ.(◎)
この文では、that は動詞を飛び越えて evidence を指しているため正しいとされます。
関係詞は動詞を飛び越えられないのではなかったのですか!?
関係詞が指せるのは「直前の名詞または名詞句」なので、直前が動詞の場合は、その主語が「直前の名詞または名詞句」に該当します。したがって、この文では that の「直前の名詞」が evidence ということになります。
関係詞の直前が名詞句であっても、単複の違いが明確な場合
The cats ate the sandwiches on the plate, which were made by Nancy. (◎)
この文では、which の後の動詞が複数扱いの were になっているため、which は明確に複数名詞の sandwiches を指していることになります。
動詞の単数・複数の区別がある場合は、直前にいくつか名詞や名詞句があっても曖昧さはなくなるわけですね。
でも、cats は複数ですが、、、あ、そうか! 「直前の名詞または名詞句」ではないので、which では指せないんですね。
はい、ここまで関係詞について理解の整理ができていれば、今まで間違えていた非常に多くの SC 問題が正解できるようになっているはずです。
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