
MBA合格体験記を読んでいると、GMATからGREへ転向した方が多い印象ですが、GMATよりもGREの方が合格点を取りやすいのでしょうか?

結論から言いますと、2023年以前はGREの方が合格点をとりやすかったのは事実です。しかしながら、2023年11月以降は GRE よりも GMAT の方が学習すべき科目が少なくなったため、目標スコアを達成しやすい傾向があります。
以下では、2023年までGMATの方がGREよりもスコアメイクが難しかった原因と、2024年以降にGMATの方が目標スコアを達成しやすくなった理由を両試験の違いを比較しながら解説します。
2023年以前と2024年以降では MBA 試験対策事情が大きく異なりますので、正確な最新情報を把握することは非常に重要です。試験内容が現在とは異なる過去の受験体験記の言葉をそのまま鵜呑みにしてしまうと、無用な遠回りをしてしまうことになりかねません。
2023年以前、GMATが超難関試験だった最大の原因は文法問題
かつてのGMATには、Sentence Correction (SC) という文法問題が存在し、多くの受験者を苦しめていました。
文法が苦手な方にとって、多くの時間とエネルギーを GMAT 学習に費やす必要があっただけではなく、文法が比較的得意な方にとっても、SC 独特のルールに引っかかるとスコアが大きぶれることがあり、文法がよくできた回では読解問題で落としてしまったり、いろいろ苦労が多かったものでした。
しかし、2023年11月に始まった現行の新形式 GMAT では SC と AWA(作文)が廃止され、試験時間も短くなり受験者の負担が大きく軽減されました。
GMAT よりも GRE の方が難しい点
語彙問題が難解
GRE が難関試験である最大の原因は、語彙の難しさにあります。日常的にほとんど目にしないようなレベルの語彙の知識が要求されるため、ネイティブスピーカーの大卒者でもフラッシュカードや単語集や単語学習アプリを使って語彙強化のために膨大な時間をかける必要があります。
一方、GMAT でも大卒レベルの語彙力は必要ですが、GRE のように純粋に語彙の知識のみを問う問題は出題されません。
GRE 読解問題では、文芸評論や哲学的な内容の文章が頻出
GMAT でも GRE でもアカデミックな文章を読解する力が問われますが、ビジネスや経済学等、MBA 志願者が得意な話題が多い GMAT とは対照的に、GRE ではビジネス系の文章はほとんど出題されず、抽象的な内容の文学批評や芸術論に関する文章が多いという特徴があります。
Analytical Writing(作文)の採点が厳しい
2023年以前は GMAT にも Analytical Writing AWA という作文があったのですが、新形式では廃止されました。GRE には依然として AW と呼ばれる作文セクションがあり、ある主張に対して賛成か反対の立場で自分の意見を述べるのですが、採点基準が旧 GMAT の AWA と比較して厳しい印象があります。
Writing 対策が必要という点で、特に英作文が苦手な方にとっては GMAT よりも GRE の方が負担が大きいです。
データ分析が得意な受験者にとっては GMAT が有利
GMAT には、Verbal(英語)、Quantitative(数学)セクションに加えて、Data Insights というデータ解析能力を問われるセクションがあります。このセクションでは、グラフ、図、表、文章といった様々なデータから必要な情報を読み取り、問題に答えます。
MBA 受験者の多くの方は、普段の仕事でグラフや表を読み取ることに慣れていることもあり、Data Insights で合格点を取ることが比較的容易です。さらに、Critical Reasoning という論理問題の割合も GMAT の方が GRE よりもはるかに高いことから、ディベートが得意な MBA 受験者の方にとっては高い正解率が期待できます。
Data Insights 問題の中には非常に難しい問題もいくつかあるのですが、そのような問題はほとんどの受験者にとって正解することが難しいため、必ずしも難問には正解できなくても一般的な合格点は取れるようになっています。
GRE よりも GMAT の方が難しい点
試験中のプレッシャーが大きい
GMAT / GRE いずれも computerized-adaptive testing が採用されていて、受験者それぞれのレベルに合った問題を出題することで、少ない問題数でも可能な限り正確に実力を測定できるように工夫されていますが、GRE はセクションレベルの adaptiveであり、GMAT は問題レベルの adaptive テストである点に違いがあります。
GRE では、Verbal / Quantitative 各セクションでは前半の出来不出来により、後半の問題レベルが決定されます。前半で正解率が高かった場合は、後半の問題レベルが高くなり、レベルが高い問題に多く正解するほど高得点になります。また、前半・後半それぞれの中では問題をスキップしたり前の問題に戻ったりすることができます。
GMAT では、1問ごとに問題のレベルが変動する仕組みで、正解すると次の問題のレベルが高くなり、不正解だと次の問題のレベルが低くなります。レベルが高い問題に正解するほど高得点になるのは GRE と同じですが、問題をスキップしたり前の問題に戻ったりすることができません(各セクションを終えた段階で3回まで回答の修正は可能です)。最初の方の問題の方が重要度が高く、序盤で連続不正解すると挽回が難しい点で、試験中のプレッシャーが GRE よりも大きいと言えます。
GMAT と GRE の相違点まとめ
GREの試験構成
科目 | 問題数 | 時間 |
---|---|---|
Analytical Writing(作文) | 1 問 | 30 分 |
Verbal Reasoning(英語) | 前半:12 問 後半:15 問 | 前半: 18 分 後半: 23 分 |
Quantitative Reasoning (数学) | 前半:12 問 後半:15 問 | 前半: 21 分 後半: 26 分 |
GMAT の試験構成
科目 | 問題数 | 時間 |
---|---|---|
Quantitative Reasoning(数学) | 21 問 | 45 分 |
Verbal Reasoning(英語) | 23 問 | 45 分 |
Data Insights(データ解析) | 20 問 | 45 分 |
GMAT と GRE の主な違い
GMAT | GRE | |
単語の知識を問う問題 | なし | あり |
RC 文章トピックの違い | ビジネス関連の話題が多い | 芸術評論や哲学的な話題が多い |
作文 | なし | あり |
データ分析問題 | あり | なし |
採点の仕組み | 1問ごとにレベル変動 | 前半・後半ごとにレベル変動 |
受験制限 | 12か月間に5回 16日に1回 | 12か月間に5回 21日に1回 |
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