
GMATのVerbalやData Insightsセクションでは、いつも時間が足りなくなります。急いで全問題を終わらせようとするのと、最後まで終わらせようと無理せず丁寧に解くのと、どちらがよいでしょうか?

GMATのComputer-Adaptive Testingでは、前半の方の重要度が非常に高く、最初の方でレベル設定が低い問題を間違えてしまうと挽回が非常に難しくなります。したがって、無理に最後まで終わらせようとせずに、前半を丁寧に解く方がスコアが高くなることが多いです。

数学は得意で、いつも時間が余って回答を修正する余裕もあるのですが、なかなか満点近いスコアが取れません。もしかすると、最初に間違えた答えを選んでしまうと、セクション終了後に正しく修正しても意味がないのでしょうか?

「意味がない」というわけではありませんが、後から修正しても挽回が難しいことは確かです。以下、図を描いて説明します。
GMATで各セクションの前半が重要な理由
1. レベル変動の振れ幅はセクションの最後の方に近づくほどほど小さくなる
GMAT Computer-Adaptiveシステムでは、序盤に大きくスコアが上下し、受験者の実力に関するデータが蓄積するにつれて、終盤では上下の幅が小さくなる仕組みになっています。

上記の例では、最初の方に連続して不正解だった受験者は最後の方の正解率が高かったにも関わらず、最終的に低いスコアになっている一方、最初に正解した受験者は中盤から後半にかけての正解率が高くなかったにも関わらず高いスコアになっています。
2. 回答を修正してもレベル変動の軌跡は変わらない
2024年以降の新形式GMATでは、セクション終了後に3回だけ回答を修正できる機能が追加されました。ところが、数多くの模擬試験や本試験のデータを分析したところ、一度不正解だった問題をセクション終了後に修正して正解になった場合でも、それほどスコアがよくならないことがわかってきました。
試験の最初の方でいったん不正解になってレベルを落とされてしまうと、その後にある程度正解しても低スコア・ゾーンをたどることになるため最終的なレベルは上がりにくく、修正して正解した問題が加点されても大きく挽回するのが難しい仕組みになっているようです。

たとえば、Quantitativeセクションで、修正なしで最初から21問中18問正解(3問不正解)だった場合は85点になるケースが多いものの、同じ正解数でも最初の方で2問間違えて2問とも修正した後に正解だった結果21問中18問正解(3問不正解)だった場合に79点になっていた事例もあります。

なるほど!! 私の場合、いつも急いで最後まで終わらせてから回答修正していたため、正解率が高くても高得点を取れなかったのですね! もっと早く試験の仕組みを知っていればよかった・・・。
3. 「少しだけ急ぐ」ことで正解率が大きく崩れるリスクも
本試験や模擬試験では普段の練習よりも正解率が大きく下がる方が多いです。その大きな要因として、試験では普段よりも少しだけ急いだ読み方をしていることが挙げられます。本人は「少しだけ」急いでいるという意識でも、文章の読み方がいつもより浅くなり、問題の理解度や注意力が大きく下がることで重要な条件やキーワードの読み落としも多くなり、スコアが大崩れしてしまうケースも多いです。
結論
以上を踏まえた最適な試験戦略は、下記のようなイメージになります。
速く解いても正解率が高い方
模擬試験で時間が余るくらいに速く解いても高得点が取れる方は、本試験でも「全問題回答」の戦略を採用して高得点が狙えることと思います。
本試験でも必要以上に慎重になりすぎることなく、ふだん通りのリズムで回答して高得点を狙うのがおすすめです。
速く解くと正解率が落ちる、または、最後まで終わらない方
模擬試験で最後まで終わらない方や、急ぐと正解率が大きく下がってしまう方は、無理に最後まで終わらせようとするよりも、前半を慎重に解いて正解率をできるだけ高める方がスコアが高くなることが多いです。
時間を余らせて回答を修正してもおそらく1問当たり0.5〜1点くらい加算される程度ですので、回答修正には期待せず、1回目の回答で正解できることを最優先すべきです。
とはいえ、GMATでは連続不正解に対する減点も大きいですので、最後にあまりにも多くの問題を間違えてしまうとスコアが低くなるリスクもあります。最後のランダムクリックは3〜4問程度までに抑えられると、犠牲が最小限で済むことになるはずです。
また、無回答に対する減点は非常に大きいので、最後に時間が足りなくなってもランダム・クリックして最後の1問まで回答を選んでおくことは重要です。

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